スペイン留学中の過ごし方。語学が上達するための生活スタイルを紹介

留学先の街に到着し、宿泊先にも落ち着いたら、いよいよ留学生活のスタートです。

今回は学校生活(授業時間・休憩時間)、放課や週末、および中長期休暇中の過ごし方について順番に例を挙げていきます。

せっかくスペイン留学を実現したのですから、毎日を楽しく過ごすことは大切です。

現地人の友達を作って、バルで美味しいワインやタパスを思いっきり堪能して、好きなサッカーやフラメンコを見に行って・・・・と出発前から様々なプランを思い浮かべていたことでしょう。

でもやはり一番の目的は語学の習得ですよね。

楽しく過ごしているうちに、たいしてスペイン語も上達せずに留学期間が終わってしまった、なんてことになったら残念です。

スペイン語がより早く上達するためには、どのような生活スタイルが効果的なのか考えながら見ていきましょう。

学校生活

授業の時間割

私立の語学学校でも大学付属のコースでも大半は午前中に集中して授業が行われます。

夏期など学生数の多い時期には一部午後の時間割になる場合もあります。

午前中、といってもスペインでは昼食を食べ始める14:00~15:00前までのことを指すので、授業開始が9:00だとして、午前中のみだとしてもたっぷり4,5時間は授業を受けることになります。

日本では1日1,2コマしか授業がないという大学3,4年生や、久しく学生生活なんてしてなかった、という人は覚悟しておいてください。

一般的には前半が文法・語彙、後半が会話などというように大まかに分かれていることが多いです。

が、学校や教師の方針によって時間割は変わってきます。

語学の授業とは別に歴史・地理・芸術など文化の授業が加わる場合もあります。

授業はどんな感じ?

私立の語学学校でも大学付属のコースでも、まず初日に新入生の語学レベルを測るためのプレースメントテストがあります。

筆記(大抵は選択問題)と簡単な面接から成り、その結果に基づいてクラス分けが行われます。

日本を含め、中国・韓国・台湾などアジアの国出身の学生は、自分の国で学んだスペイン語文法の知識は比較的しっかりと身についていることが多いです。

反面、聞き取りや会話となると欧米出身者に大きく差を開けられることがあります。

ですから、コース初日のプレースメントテストの筆記試験で好成績をとった結果、レベルの高いクラスに振り分けられ、会話の授業で苦労する、という話をよく聞きます。

先生の説明もクラスメートとの会話も教材もすべてスペイン語。

初めは何が何だか分からない、と焦る人もいると思いますが、時間とともに耳が慣れてくれば、次第に授業内容も理解できるようになってくるはずですから、あまり心配しないでください。

数日授業を受けてみて、やっぱりついていけない、あるいは逆に簡単過ぎてつまらない、という場合は無理をせずに担当の先生やコーディネーターに相談してみましょう。

より適正なレベルのクラスに変えてくれるでしょう。

大切なのは、自分のレベルに合った内容の授業を受けることです。

文法が簡単過ぎて退屈してしまったり、逆に会話が難し過ぎて全く参加できないのでは、せっかく留学までしたのに時間がもったいないとは思いませんか?

休憩時間の過ごし方

前半と後半の授業の合間には20分~30分の休憩時間があります。

この時間はもちろん教室を移動したり、トイレに行ったりするための時間ですが、カフェや軽食をとる時間でもあります。

人によってDesayuno (朝食)とかAlmuerzo(軽い昼食) とか呼び方は違いますが、朝早くにはごく少量の朝食しかとらず、午後2時以降までメインの昼食にありつけないスペインの人々にとっては、貴重なエネルギー補給の時間なのです。

家から用意してきたサンドイッチや菓子パン、フルーツなどを食べる学生もいれば、学校のカフェテリアや近隣のバルに向かう学生もいます。

先生の多くもコーヒーを飲みに行くので、後半の授業開始は遅れがちですが、そこはスペイン。

みんなが大体集まった時点でようやく授業再開となります。

逆に、終わるときは先生も時間通りにスパっと切り上げてしまうので、質問がある場合は授業の後で、などと考えずにその時その場で聞いてしまったほうがよいでしょう。

実はこの休憩時間の雑談が、語学を習得したい留学生にとっては予想以上にいいチャンスなのです。

授業中とは違ってリラックスした雰囲気の中では、自然とスペイン語も流暢になるものです。

息抜きに日本語を話したくなるのもわかりますが、ここはぜひ他の外国人学生や先生たちとスペイン語で雑談してみましょう。

また、同じカフェテリアやバルに通ううちに、お店の人や常連客と仲良くなって会話がはずむこともあります。

教室に残ってひとり黙々と授業の予習・復習をするより、積極的に外に出て会話のチャンスを探しましょう。

放課後や週末の過ごし方


午前中に授業が集中している場合、昼食後の午後は基本的に自由です。

学生数の多い夏期などは学校で様々なアクティビティを企画してくれる場合もありますが、留学生活も長くなってくると、自分で好き勝手に行動することが増えると思います。

家や図書館でひたすら勉強をするのもよし、美味しいものを探して食べ歩きするもよし、連日ショッピングに出かけるのもよし。

ですが、この自由時間をどう使うかが、語学の上達に大きくかかわってくるということを忘れないでください。

インテルカンビオ(文化・言語交換、エクスチェンジレッスン)

インテルカンビオ(Intercambio)という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

異なる国の者がお互いの母国語を教え合うというシステムです。

2人だけで行うことが多いですが、グループで集まってちょっとしたイベントのようなものが開催される場合もあります。

インテルカンビオの相手は、語学学校が手配してくれることもありますが、もっともポピュラーなのは学校の掲示板に次のような広告を出すことです:

「私は20歳の日本人です。

スペイン人のインテルカンビオの相手を探しています。

興味のある方は連絡してください。

Tel.………、Email………」

すでに日本人とのインテルカンビオを希望する広告が貼り出されていれば、そこに連絡してみるとよいでしょう。

ただ、いずれの場合も、語学交流以外の目的でコンタクトしてくるケースが少なからずありますので、十分に注意してください。

最初は人目の多い賑やかな場所で待ち合わせしたほうがいいかもしれません。

大人数が集まるインテルカンビオのイベント告知も学校の掲示板に貼り出されていることが多いので、まめにチェックしてみてください。

インテルカンビオではこちらが一方的にスペイン語を習うのではなく、相手に日本語または日本文化について説明しなければなりません。

お互いの語学レベルによっては会話が成り立たなかったり、共通言語の英語で終始話してしまったり、ということもあり得ます。

ただ、学校とは違って授業料は不要ですし、インテルカンビオを通じてスペイン人の友達ができるのは大きな魅力ですよね。

ぜひ一度挑戦してみるといいでしょう。

最近はスペインでも日本文化が大人気で、日本人と交流したいというスペイン人がたくさんいます。

相手を見つけるのはそう難しいことではないと思います。

映画

スペインの映画館は基本的にすべて吹き替えです。

オリジナル+字幕(字幕ももちろんスペイン語)を上映するところはごく一部です。

はじめは少し難しいかもしれませんが、聞いているうちに耳が慣れてきて、また、映像の助けもあって何となくストーリーがわかってくるのが不思議です。

リスニング力を高めるには効果的だと思います。

また、お芝居やミュージカルを観に劇場へ足を運ぶのもいいでしょう。

学生割引料金などが設定されていれば、日本では考えられないようなリーズナブルな料金で本格的なショーを楽しむことができます。

また、夏には各地で野外映画会やシアターが開催されますので、情報を逃さないようにしてください。

スポーツや習い事

スペイン語を勉強するきっかけがサッカーやフラメンコ、またはスペイン料理だという人は少なくないはずです。

せっかくその本場にいるのですから、現地で体験しない手はありませんよね。

掲示板にはよく「〇〇教室の生徒募集」などの張り紙がありますし、学校のコーディネーターに相談してみれば何かしらのアドバイスをくれるはずです。

地元の人たちと交流するいいチャンスですし、同じ趣味を持つ人同士の集まりならば、コミュニケーションがよりスムーズに進むでしょう。

近隣の街へショートトリップ

滞在する街は一通り知り尽くしたな、と思ったら、少し遠くに足を伸ばしてみましょう。

学校がある日の放課後だけでは時間的に厳しい、という場所には授業のない土日を使って遠足気分ででかけるのもいいものです。

例えば、マドリード周辺にはトレド、セゴビア、アランフェスなど日帰りできる超有名観光地がいくつもあります。

バルセロナとタラゴナ、バレンシアとアリカンテなど地中海沿岸にはそれほど距離の離れていない街が点在しています。

自分が住んでいる街とは違った雰囲気の場所を散策するのはいい気分転換になるでしょう。

サッカーの試合、フラメンコショー

スペインではサッカーの試合開始時間が遅い時では22:00頃になることがあります。

また、フラメンコショーは開始が21:00前後でもメインのダンサーが登場するのは真夜中以降、ということが普通です。

次の日学校だから夜更かしできない、という場合も週末ならばナイトライフを楽しむことができますよね。

そういう人のために週末は遅くまで夜行バスを走らせている自治体も多くあります。

ぜひ留学中に一度は本場の試合やショーを堪能してみてください。

ただし、サッカー競技場など人の多く集まる場所や、多くのフラメンコショーがある夜の路地などは、犯罪件数も格段に増えます。

いくら用心してもし過ぎるということはありません。

楽しいはずの外出がネガティブな思い出にならないよう、十分気を付けてください。

休暇の過ごし方

私立の語学学校は比較的カレンダー通りの日程で開講し、年末年始の休みも長くて1週間ほどです。

大学付属コースの場合は学部生のスケジュールに合わせて、年末年始、セマナ・サンタ(Semana Santa・聖週間)にそれぞれ2週間前後の休みがあります。

逆に夏期には、大学付属のスペイン語コースは集中コースなどを開講することが多いので、一般のスペイン人学生が2ヶ月以上の長い夏休みをとっている間も授業があります。

一方、私立の語学学校では事前に申請すれば1、2週間休みをとり、その分を別の週や申し込み期間の延長という形で振り替えてもらえる可能性があります(ビザの関係で無理な場合もあり)。

いずれにしても、1、2週間も休みがあれば、普段できない何かをしたいと思いますよね。

そしてまず思いつくのは旅行ではないでしょうか。

スペイン国内・国外への旅行

1~2週間前後の休暇は、日帰りでは行けないスペイン国内の別の地方や、日本からでは遠くて気軽に行けない周辺ヨーロッパの国々を旅行する絶好のチャンスです。

せっかくならより思い出に残る旅をしたい、という方のために、いくつかアイデアを紹介します。

  • ガリシア地方の巡礼道を歩いてみる

サンティアゴ巡礼道(Camino de Santiago)という言葉をご存知でしょうか。

スペイン北西部、ガリシア州にあるキリスト教の聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラの大聖堂(カテドラル)を目指して、スペイン各地または周辺国からはるばる歩いて向かうことを言います。

一番有名なルートはフランスとの国境、ピレネー山脈を越え800キロほど続くフランスの道(Camino Francés)ですが、他にもポルトガルの道、スペインの南のほうから北上する銀の道、など様々なルートがあります。

どこからスタートするかは自由ですが、最低100km歩かないと到着した時に巡礼証明書(Compostela)は発行されません。

自転車や馬を使った場合には、その距離はさらに長くなります。

100kmであれば早い人なら3日前後、遅いペースでも1週間もあれば踏破できます。

が、気候や体調によっては大幅に予定が狂ってしまうのがこの巡礼の怖いところです。

スケジュール満載の弾丸ツアーなどでは決して体験できないこの巡礼を、留学中に実行してみてはいかがでしょうか。

  • 各地の祭りに合わせて旅行する

ナバーラ県パンプローナの牛追い祭り(San Fermín、7月上旬)、バレンシアの火祭り(Las Fallas、3月中旬)、同じくバレンシア州のブニョールという小さな街のトマト祭り(Tomatina、8月下旬)などは日本でもよく知られていますね。

他にもセマナ・サンタの行進やカーニバルのパレードなど、年間を通してスペイン各地で特色のあるお祭り・イベントが目白押しです。

もし留学中にこれらのお祭りの時期が重なったならば、自分の目で見てみたい、あるいは参加してみたいとは思いませんか?

学校がバスツアーなどを企画してくれる場合もありますが、自分たちで計画を立てて実行すれば、より高い満足度が得られそうですよね(リスク高くなりますが・・・・)。

まとめ

前にも言いましたが、海外で語学留学をする一番のメリットは、いつでもどこでも語学上達のチャンスに囲まれている、ということです。

学校の授業だけが学習の場ではありません!

もちろん学校で習ったことを自分の部屋や図書館で復習するのは大切ですし、文法や語彙の暗記はどのレベルになっても必要不可欠です。

でも、一人で本を使って勉強することは日本でもできますよね。

せっかくスペインにまで留学するのですから、現地でしかできない方法で語学を身につけていきましょう。

見て、聞いて、触って、味わって、体中でスペイン文化を感じることができるような、充実した留学生活を送ってください。

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