スペイン留学中の滞在先の選び方。宿泊先の特徴と注意点を詳しく解説。

海外留学を計画する時、留学先の街や学校の選択はもちろんですが、宿泊先をどうするかという問題もとても重要です。

居住環境は勉強の進度に影響するだけでなく、留学生活全体のクオリティにもかかわってくるからです。

また、91日以上の留学の場合に必要なa学生ビザを申請する際には、スペイン滞在中の宿泊先が確保されていることを証明する「宿泊証明書」をスペイン大使館に提出しなければなりません。

長期学生ビザ(181日以上)での留学の場合は最初の約3か月分、短期学生ビザ(91日~180日)の場合は滞在全期間をカバーする宿泊証明が必要になると言われています。

※学生ビザに関する法律は頻繁に変わるので、必ず事前に大使館に確認してください。

宿泊先の探し方


インターネットでスペインの賃貸情報を探して自分で契約することもできますし、現地に知人や家族がいる場合はその家に滞在させてもらうという手もあります。

ただ、個人が所有する住居に滞在する場合、前述の宿泊証明書は家主あるいはその家の住人が作成し、公正証書化しなければなりません。

当然手間や時間(とお金)がかかります。

一番安心で手っ取り早いのは、留学先の学校に宿泊先の手配をお願いすることでしょう。

入学許可書と一緒に宿泊証明書も発行し、日本へ送ってくれます。

長期留学(長期ビザ)の場合はとりあえず前述の最低必要期間の宿泊を手配してもらい、残りの期間については現地についてから自分で探す、という選択肢もあります。

宿泊先の種類

語学学校に手配をお願いできる宿泊形態は主にホームステイとシェアアパートです。

大学付属のコースの場合、その他にも時期や空き状況によっては学生寮に滞在できる可能性もあります。

以下でそれぞれの特徴を見ていきましょう。

ホームステイ

学校と契約を結ぶスペイン人家族がホストファミリーとなり、1人あるいは複数の学生を受け入れます。

どんなホストファミリーがいいか事前に希望を聞いてくれる学校もありますが、現地で対面するまで家族構成や年齢がわからないという場合も多いです。

食事(2回または3回/日)の用意から、掃除・洗濯までしてくれるので、1人暮らしをしたことのない人でも安心です。

また、毎日朝から晩までスペイン人と一緒に生活するわけですから、必然的にスペイン語で会話する時間が多くなります。

病気や盗難などで困った状況におかれた場合に、ホストファミリーに頼ることができるのもメリットですね。

一方、ホストファミリーの家族の一員として過ごすわけですから、その家庭の生活習慣・時間を尊重しなければなりません。

食事の時間を守るのは当然ですし、夜遅くにシャワーを浴びる、勝手に友達を呼んで騒ぐ、などホストファミリーに迷惑のかかることは避けましょう。

ホストファミリーは学生に提供するサービスについて、契約している学校からの条件を満たすことになっていますが、すべての家庭で全く同じ環境が用意されているとは限りません。

経済的に余裕があり外国人との交流が好きで学生を受け入れる家庭と、学校から支払われる手数料を収入としてあてにしてるような家庭では、やはり待遇に差があります。

また、一人暮らしのホストマザーだけの場合と、子供の多い大家族の場合ではスペイン語でのコミュニケーション量も変わってくるでしょう。

はっきり言って、ホームステイには当たりはずれがあります。

ただ、一般的には外国人学生を受け入れるファミリーは親切で、異文化に対する理解がある人たちだと考えてよいでしょう。

学生寮

大学付属のコースに留学する場合、その大学の保有する学生寮に入れる可能性があります。

一般(スペイン人)学生が長期休暇中(夏休み中の7,8月など)だけ入居可能な場合もあれば、空き室があればいつでも、という場合もあります。

学生寮の寝室は基本的に個室あるいは2人部屋で、サロンやキッチン、洗濯場などは共有スペースとなります。

食堂が併設されていることが多いので、自炊は苦手という人も安心です。

他にもメリットとして、寮がキャンパスの敷地内あるいは近くにあれば登下校が楽なこと、図書館など大学の施設を気軽に利用できること、同じ世代の学生と交流する機会が多いこと、などが挙げられます。

逆に自分から進んで他の寮生と関わろうとしなければ、スペイン語を使う機会が少なくなります。

嫌でも会話をしなければならない環境におかれるホームステイとは違うところですね。

シェアアパート/ピソ・コンパルティード


シェアハウスまたはシェアアパートはスペイン語ではピソ・コンパルティード(Piso Compartido)と言います。

日本でも近年人気が高まっているようですが、スペインでは昔からごく一般的な居住形態です。

各人の寝室は別々で、キッチン、バスルーム、サロンなどは共有となります。

留学生だけでなく、実家から遠い大学に通うスペイン人学生や経済的に余裕のない社会人なども、ピソ・コンパルティードに住むことが多いです。

また、子供が自立して寂しい、あるいは部屋が余っているという高齢者が自分の住居の一部を貸している場合もあります。

シェアアパートは食事付きのホームステイや学生寮に比べると費用が安く、マドリードやバルセロナなどの大都市でも300~500ユーロ/月、地方に行けば200~300ユーロ/月で借りることができます。

ただし、食事は当然自炊ですし、光熱費は別に請求される場合もあります。

一番の特徴は、家族でもカップルでもない他人同士が同居する、という点でしょう。

学校や大学が手配するシェアアパートであれば、同居人も学生であることが多いですが、そうでない場合は国籍・年齢・職業・宗教の違う人々と生活を共にする可能性があります。

スペイン人が同居していれば当然ですが、そうでない場合でも共通言語がスペイン語という可能性は高いので、スペイン語を練習するにはいい環境です。

一緒に料理を作ったり、お喋りしながらくつろいだりできるのも楽しいですよね。

一方、キッチンや洗濯機、バスルームを好きな時間に使えない、などのデメリットもあります。

同居人が掃除をしない、騒音がうるさい、などといった苦情が出るのもピソではよくあることです。

ピソの間取りや特徴については事前に情報を得ることができても、同居人の性格や生活スタイルは実際に住むまでわからない、というのがピソ・コンパルティードのリスクでもあり面白味でもあると言えます。

いいことも悪いことも含めて、文化の異なる人々とひとつ屋根の下で生活することは、貴重な体験となるでしょう。

全くのスペイン語入門者には少しハードルが高いかもしれませんが、長期留学をする人にはぜひ一度ピソ・コンパルティードに住んでみることをお勧めします。

まとめ

ここまで3つの異なる宿泊方法を見てきましたが、このうちの一つに絞らなければいけないわけではありません。

最初の数週間はホームステイ、その後はピソ・コンパルティードというように手配してもらうこともできるからです。

一般的には、数週間の短期留学の場合はホームステイ、長期になる場合はピソまたはホームステイ+ピソの組み合わせ、というバターンが一番多いように思われます。

どこに住むとしても、語学習得・上達を目的に留学する場合、できるだけスペイン人(少なくとも日本人以外)と会話をする機会が多いにこしたことはありません。

母国語が同じ人がいるとついその言語で話したくなってしまうでしょうから、日本人との同居はおすすめしません。

ただ、日本文化や日本語が恋しいためにストレスを感じて勉強がはかどらないのでは元も子もありません。

時には日本人の友達と思いっきりお喋りをしてストレスを発散させるのもいいでしょう。

繰り返しになりますが、自分の性格、生活スタイルや留学の目的をよく考慮したうえで、最適な宿泊先選びをしてください。

海外留学することの最大のメリットは、学校での授業だけではなく、留学生活におけるあらゆる出会い・出来事が語学の上達に繋がることだと思います。

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