まずは辞書を準備しよう!最近のスペイン語の辞書事情と選び方を解説
スペイン語に限らず、語学の勉強において、辞書は必要不可欠なものですね。
教材を揃えるにあたって、まず最初に準備するのは辞書、という人がほとんどではないでしょうか。
英語の辞書に比べると、スペイン語の辞書の選択肢はあまり多いとは言えません。
それでも、特に初めて買う場合は、複数ある中から何を基準に選ぶべきか迷いますよね。
見出し語の数、各語の説明の仕方などには辞書によって大きな違いがありますから、慎重に比較して決める必要があるでしょう。
また、辞書と一言でいっても形態は様々で、従来の紙の辞書や電子辞書の他に、最近ではオンライン辞書、そして辞書アプリの利用者が増えてきています。
持ち運びの利便性、使い易さ、内容の充実度のどれに重きを置くかによって選ぶ辞書は変わってくると思います。
ここではまず、それぞれの辞書の形態にはどのような特徴そしてメリット・デメリットがあるのかを見ていきましょう。
また、各カテゴリーで具体的におすすめの辞書をいくつかご紹介します。
初めてスペイン語辞書を購入する人だけでなく、現在使用中のものと併用する第2・第3の辞書を探しているという人にも参考にしてもらえれば幸いです。
紙の辞書
電子辞書やスマホで使えるアプリなど、よりコンパクトなツールが増えてきた今、従来型の紙の辞書は必要ないのでは、と思う人もいるかもしれません。
事実、重いし嵩張るので持ち歩きには不便ですし、西和辞典と和西辞典の両方、さらには西西辞典まで持つとなると、その重さは何倍にもなります。
それでも紙の辞書の需要があるのには、それなりの理由があるということですよね。
その一つが「使い込むにつれて自分仕様になる」ことではないでしょうか。
例えば、紙の辞書ならば繰り返し同じ単語を引いていることに気づきやすく、自分の不得意な部分が見えてきます。
また、必要であればマーカーで印をつけたり、付箋を付けたりすることもできます。
そして、使い慣れた辞書は手にも馴染み、新品の頃よりページがめくりやすくなってくるものです。
辞書に「愛着が湧く」というのも大袈裟な表現ではないかもしれません。
さらに、紙の辞書ならば探している単語の前後にある同じ語幹の単語(関連語)も目に入るため、ついでに覚えられるというメリットもあります。
スペイン語の勉強を長く続ける意志があるならば、やはり一冊は紙の辞書を持つことをおすすめします。
西和と和西の両方を一度に購入するのは難しい、という場合はまず西和を入手してください。
初級レベルでは、日本語をスペイン語に訳す機会はあまりなく、知らないスペイン語の意味を調べる、という作業がほとんどになるからです。
おすすめの紙の辞書
- 白水社「現代スペイン語辞典」46500語
スペイン語辞書の古典ともいわれ、よく知られた辞書です。
見出し語の数が46500語と多いわりにはコンパクト(19.2 x 12.8 x 3.4 cm)なところが人気の理由のひとつでしょう。
類義語・反対語や南米での用法が載っていたりして、ひとつの単語に関する情報量が充実しています。
また、用例の数が豊富だと評判です。
勉強を始めたばかりの初級者からプロの通訳・翻訳者として活躍する人まで上級者まで、幅広い層に支持されていることからも、長い間使える辞書だと考えてよいでしょう。
- 小学館「西和中辞典」(第二版)
見出し語数が80000語という圧倒的な数を誇っています。
語源まで記載されている唯一の西和辞書です。
芸術やITなどの分野の新語や、中南米の語彙も多く含むのが特徴です。
ややサイズが大きい(19.6 x 14.2 x 5 cm)のが難点で、持ち歩きに適しているとは言えません。
が、自宅や仕事場に置いて参考にするのであれば、非常に頼もしい辞書といえるでしょう
- 三省堂「クラウン西和辞典」
見出し語の数は52000語と「西和中辞典」に次いで多い辞書。
基本の語に関してはすべての語義の文例がフルセンテンス載っていて、わかりやすいと評判です。
また、類義語・反対語が詳しく記述されているのも特徴です。
発音は音声表記ですが、重要語にはカタカナ表記も付いています。
見出し語には色がつけられており、二色刷りで見やすくなっています。
電子辞書
電子辞書のメリットは何といってもそのコンパクトさですよね。
学校や職場へ毎日辞書を持って行く必要のある人にとっても、毎回異なる場所で仕事をするプロの通訳にとっても、電子辞書はとても便利なツールです。
価格は最新版ですと3万円以上と決して安くありませんが、紙の辞書何冊分ものコンテンツを収録しているのであれば当然とも言えるでしょう。
また、ハードウェアを一台もっていれば、後からコンテンツを追加することもできるので、収録されている辞書の改訂版が出る度に買い替える必要はありません。
様々なメリットの一方で、電子辞書の場合は検索の際に単語の綴りを間違えると検出されないという欠点があります。
また、紙の辞書とは違い、前後の単語が自然と目に入るようなことがないので、派生語・関連語などの情報は意図して探さない限り得られません。
マーカーや付箋で印をつけられないのを不便に思う人もいるかもしれませんね。
おすすめの電子辞書
・カシオ スペイン語電子辞書 XD-Z7500(2018年1月発売)
初級者からプロの通訳・翻訳者として活躍する専門家まで、幅広い需要に応える内容と多機能を備えるハードウェア。
スペイン語に加えポルトガル語辞書も収録しているのが大きな特徴です。
紙の辞書のところで紹介した、白水社「現代スペイン語辞典」、小学館 「西和中辞典」(第2版) に加え、 白水社の「和西辞典」、「オックスフォード スペイン語辞典」(英-西・西-英)、そして「スペイン語経済ビジネス用語辞典」( 第2版)が収録されています。
。
さらに、「文法中心 ゼロから始める スペイン語」、「ひとり歩きの会話集 スペイン語」、「Dr. Passport (日本語→スペイン語版)」、スペイン語例文の音声付の「口が覚えるスペイン語」、「Trouble Passport (日本語→スペイン語版)」 など、合計10ものコンテンツを収録し、非常に充実した内容となっています。
オンライン辞書
最近では無料で利用できるオンライン辞書が数多く存在します。
その多くは日本語⇔スペイン語、スペイン語⇔英語など双方向の翻訳機能を兼ね備えていますし、なによりインターネットさえあればいつでも閲覧できるのでありがたいですよね。
日本語⇔スペイン語の辞書は日本語⇔英語の辞書と比較するとまだ完成度が低いと言われます。
「スペイン語→日本語」の辞書で調べてもぴったりの訳語が見つからない場合など、まずは「スペイン語→英語」で調べてから「英語→日本語」に訳す、という方法を試してみてください。
このような場合、パソコンであれば一度に複数のタブを開いておき、比較しながら使うこともできます。
これもオンライン辞書のメリットと言えるでしょう。
おすすめのオンライン辞書
- Grosbe:
日本語⇔スペイン語双方向の翻訳に対応。
非常に多くの訳語が表示され、しかもそのほとんどに例文がついている点が親切です。
https://ja.glosbe.com/es/ja
- Reverso:
日本語⇔スペイン語対応。
単語の定義や用例が見やすくまとめられています。
多義語の知識を深めたい場合に便利です。
https://diccionario.reverso.net/espanol-japones/
- Linguee:
スペイン語⇔英語対応。
実際の文章が例に挙げられており、その中で単語がどのように使われているかを見ることができます。
辞書というよりは例文集といえるでしょう。
例文のおかげで微妙なニュアンスをつかむことができます。
https://www.linguee.es/espanol-ingles
- WordReference:
スペイン語⇔英語対応。
語義だけでなく派生語や関連語も多く記載されています。
ユーザー登録をすれば、オンラインフォーラム(学習者・翻訳者の掲示板)で語彙や文法に関する質問を投稿することができるのが特徴です。
https://www.wordreference.com/es/en/translation.asp
- RAE:
スペイン語⇔スペイン語。
権威あるスペイン国立言語アカデミー“Real Academia Española”の公式オンライン辞書。
中南米のスペイン語も調べることができます。
スペイン語の単語の意味をスペイン語で説明しているため、スペイン語初級者には難しいかもしれません。
微妙なニュアンスや日本語に訳しきれない深い意味がわかることもありますので、ある程度の語学力のある人は利用してみることをおすすめします。
https://dle.rae.es/?w=diccionario
辞書・翻訳アプリ
電子辞書よりもさらにコンパクトで手軽な辞書を持ち歩きたいという人には、スマートフォンにインストールできるアプリがおすすめです。
ほとんどのアプリにオフライン版があり、インターネットが使えない状況でも機能するので安心ですね。
辞書・翻訳アプリにも無料アプリと有料アプリが存在します。
無料のものに比べるとやはり有料のもののほうが機能・内容が充実していますが、旅先で気になった単語をちょっと調べたい、というくらいならば、無料のものでも十分に用は足りるかと思います。
- 西和辞典(開発:Appsorbent Chicken)-無料
日本語⇔スペイン語の相互翻訳ができる無料のアプリです。
オフラインでも使えるので、海外で通信が使えないような状況でも安心です。
日本語→スペイン語の翻訳では、3万語以上が登録されており、漢字検索も可能です。
- 日本語-スペイン語辞書(開発:Glosbe Parfieniuk i Stawiński s. j.)ー無料
単語の語義だけでなく、慣用句やことわざ、使用例や発音までも教えてくれるアプリです。
無料とは思えないほど充実した内容です。
- 和西辞典- 学習・翻訳・旅行-無料スペイン語単語検索発音辞書(開発:EPlusMoment)-無料
こちらも無料のアプリです。
シンプルな和西辞典ですが、音声でスペイン語の発音を聴くことができます。
- 現代スペイン語辞典・和西辞典 改訂版(開発:LogoVista)ー有料(6400円)
約4万5千のスペイン語を収録しています。
最新用語や中南米の表現も多く、例文も豊富で充実した内容となっています。
スペイン語の地名や手紙の書き方などの実用的な付録もついていて、旅行やビジネスで使う場合にも頼りになります。
価格は高めですが、それに見合った機能をそなえたアプリだと言えるでしょう。
- 西和中辞典・ポケプロ和西辞典(開発:物書堂)-有料(2900円)
すでにご紹介した小学館の「西和中辞典 第2版」と「ポケットプログレッシブ西和・和西辞典」の和西部分を収録した辞典アプリ。
収録語数や説明の詳しさに関しては最高レベルを誇っています。
説明の中に分からない単語があれば、指でなぞってその意味を調べられる「なぞってジャンプ」という便利な機能を搭載しています。
もちろんオフラインでの使用も可能です。
まとめ
辞書に関しては、ひとつのタイプを選択しなければならないということは決してありません。
むしろほとんどの人が紙の辞書と電子辞書、さらにはオンライン辞書やアプリも併用しているのではないでしょうか。
プロの通訳・翻訳者ともなると、紙の辞書だけでも数種類揃えていることがあります。
同じ単語についてでも辞書によって語義が微妙に異なったり、情報量に違いが見られるからです。
家や職場には大きめの紙の辞書を置き、外出時は電子辞書やアプリを活用する、など自分の生活スタイルに合わせて複数のツールを使い分けるようにしましょう。
前述のように、辞書によって収録する内容には違いがありますし、文字のサイズやレイアウトなどの好き嫌いもあるでしょう。
辞書は外国語学習のパートナーともいえる存在です。
これからスペイン語の勉強を始めようという人は、複数の辞書をよく見比べたうえで自分に合ったものを選んでください。