スペイン語検定について。DELE・西検・SIELEの試験内容、合格基準など

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外国語学習者の語学力を客観的に測定する、あるいは証明する手段として検定試験は重要です。

また、検定合格を目指して勉強に力を入れるため、モチベーションを高めるための目標にもなります。

スペイン語の検定試験として知名度の高いものというと「DELE(外国語としてのスペイン語検定)」と「西検(スペイン語技能検定)」が挙げられるでしょう。

ここでは主にこの二つの検定について、それぞれの特徴や基本情報を解説したうえで、どのような目的を持った人に向いているのかを検討していきます。

また、2016年に誕生した新しいスペイン語検定「SIELE(スペイン語認定国際サービス)」についても紹介します。

どの検定を受験するか決定するためのヒントになれば幸いです。

DELE:外国語としてのスペイン語検定

正式なスペイン語名は“Diploma de Español como Lengua Extranjera”と言います。

スペイン教育文化スポーツ省が公認する検定試験で、スペイン国外ではインスティトゥト・セルバンテス(※)が運営実施しています。

現在世界100ヵ国以上で実施されており、スペイン語能力を証明するものとして国際的に認められた検定です。

※Instituto Cervantes: スペイン語の教育およびスペイン語圏の文化の普及のためにスペイン政府によって設立された機関。

日本の支部は東京都千代田区にある「インスティトゥト・セルバンテス東京(別名セルバンテス文化センター」です。

「読む」「書く」「聞く」「話す」の4つのスキルが総合的に測定されるため、実践的なコミュニケーション能力の証明に最適と言われています。

実施方式は全世界で共通で、試験監督者の説明や問題文も全レベルにおいてスペイン語で行われます。

レベルと検定の基準

DELEのレベルはヨーロッパ言語共通参照枠(※)に基づいており、A1-入門、A2-初級、B1 -中級、B2-中上級、C1-上級、C2-最上級の6段階に分かれます。

各レベルの基準を要約すると以下のようになります。

※スペイン語ではMCER=Marco Común Europeo de Referencia para los Idiomas、

英語ではCEFR=Common European Framework of Reference for Languages

A1:日常生活に必要な簡単な表現を理解し、使うことができる。

個人情報について話したり尋ねたりすることができる。

A2:日常生活に必要な表現を理解し、簡単なコミュニケーションをとることができる。

学校や仕事などの日常的な事柄や、経験済みの事柄について簡単な会話ができる。

B1:日常での様々な事柄や学習・仕事などに関する既知の内容を理解することができる。

大抵の状況で適切な応対ができる。

自らの関心事、経験、出来事、願望、意見などを相手に伝えることができる。

B2:複雑な内容や抽象的なテーマも理解することができる。

自然な会話や詳細な作文が可能で、ネイティブスピーカーとも会話する能力を持つ。

C1:幅広い分野の文章や会話の中で、言外の意味や相手の意図までを読み取ることができる。

様々な分野において適切な表現を操り、複雑な文章を理解したり作成したりできる。

C2:文章の難易度や認知度、専門性に関わらず、入ってくる全ての情報を理解し、適切に対応することができる。

学術・ビジネスなどの高度で複雑な分野でも、4つのスキルを十分に使いこなすことができる。

日程・会場・受験資格など

年に2回、春と秋に東京・大阪・京都・名古屋・広島・福岡・仙台・沖縄の8会場で行われます。

東京では夏も含めて計3回開催されます。

会場によって日程や受験可能なレベルが異なるので、事前の確認が必須です。

もともとはスペイン語を母国語としない人々のスペイン語能力を測るテストでした。

それゆえ、現在でも受験資格に「国籍がスペイン語を公用語とする国でないこと」という規定があります。

さらに「スペイン語以外の言語が公用語である国」に住んでいるうえ、両親もスペイン語を母語としない、初等・中等教育をスペイン語で受けていない、などの条件もついています。

試験内容

前述のように、4つのコミュニケーションスキルを測定するため、試験内容は「読解」、「聞き取り」、「文章表現(作文)」、「口頭試験(面接)」の多岐にわたります。

レベルによって試験時間は異なりますが、通常口頭試験は午後、それ以外は午前中に行われます。

合格基準

試験内容はグループI~IIIの3つに分けられ、それぞれの正解率が60%以上でなければ合格できません。

すべてのグループの合計ではなく、各グループで基準を満たさないといけないのがDELEの難しいところです。

ある分野で特別に秀でているだけでは合格できませんし、不得意な分野は重点的に勉強する必要があります。

西検:スペイン語技能検定

スペイン語の名称は“Evaluación del Conocimiento de la Lengua Esapañola”です。

文部科学省の認定技能審査であり、財団法人日本スペイン協会(※)が運営実施しています。

もともとは官公庁や民間企業などの採用試験、または能力査定における語学力評価を目的として始められた検定です。

現在では、日本国内の学校の単位取得や奨学生・海外留学生の選考の条件として利用されることも多くなっています。

DELEと異なる点は、スペイン語でのコミュニケーションスキルを徹底的に測定するための検定ではなく、スペイン語-日本語間の関係を重視しているということです。

試験内容に翻訳能力を試す問題が多いのはそのためでしょう。

※スペイン語圏の国々との親善を目的に設立された公益財団法人。

スペイン語名はSociedad Hispánica de Japónで、本部は東京都港区にあります。

日程・受験資格を含む

春と秋の2回行われ、一次試験と二次試験は別の日程になります。

一次試験については、北は北海道、南は沖縄まで18都道府県に会場が設けられますが、二次試験は札幌・東京・名古屋・神戸・広島・福岡のみになります。

受験資格は特に定められていないので、基本的に誰でも受験することができます。

レベルと検定の基準

6級(入門)、5級(初級)、4級(中級)、3級(上級)、2級(最上級)、1級(プロ級)の6つのレベルに分かれており、それぞれの基準をまとめると以下のようになります。

6級:基礎的な短い文章の読み書きができるレベル。

直説法現在修了程度。

5級:簡単な文章の読み書きができるレベル。

初級文法 (直説法) 修了程度。

4級:簡単な日常会話ができ、文法をひととおり修了しているレベル。

3級:新聞などが理解でき、一般ガイドに不自由しないレベル。

2級:ラジオ・テレビの番組を理解し、一般通訳ができるレベル。

1級:出版物のや文学の翻訳、会議通訳、専門ガイドができるレベル。

試験内容

一次試験が筆記試験(全級)、聞き取り試験(4・5級のみ)、二次試験が面接試験(1~3級のみ)となります。

1~3級の二次試験は、一次合格者のみが対象です。

試験時間はDELEと比べるとだいぶ短く、1~3級の筆記試験は90分、4・5級は筆記・聞き取り合わせて60分、6級は筆記のみの60分です。

合格基準

1・2級は正解率80%以上、3~6級は正解率70%以上で合格となります。

さらに、3級以上の合格者には、全2日間の有料研修を受講する資格が与えられ、修了後に「実務翻訳士」の証明書が発行されます。

SIELE:スペイン語認定国際サービス

正式名称は“Servicio Internacional de Evaluación de la Lengua Española”。

インスティトゥト・セルバンテス、メキシコ国立自治州大学、スペインのサラマンカ大学、アルゼンチンのブエノスアイレス大学という世界的に有名な4つの学術機関が振興する新しいスペイン語検定です。

2016年に誕生したこの検定は、2018年から日本でも実施されることになりました。

一番大きな特徴は、手続きがすべて電子化されていることでしょう。

受験の申込、試験結果の問い合わせ、証明書や評価書の発行まで、すべてがインターネットを通じて行われます。

試験の実施も紙媒体ではなく、会場でパソコンを使って受験します。

また、スペイン本国だけではなく、中南米を含むスペイン語圏の地域文化的多様性が盛り込まれている点も注目に値するでしょう。

日程・会場・受験資格など

日本では今のところ(2018年末)東京のインスティトゥト・セルバンテスが唯一の試験会場です。

SIELEのメリットとして「受験者が受験日・時間・試験会場を自由に選択できる」ことが挙げられていますが、実際には受験の日時も会場も限られているのが現状です。

まだ始まって間もない検定試験ですので、これから普及が進むにつれ、より受験生のニーズに合ったシステムへと改善されていくことを期待しましょう。

SIELEの試験日程及び試験会場の情報はこちらから:SIELE公式サイト

受験資格(試験対象者)に関してはDELEとは大きく異なります。

外国語としてスペイン語を勉強している者のほか、スペイン語を母国語とする人、つまりネイティブでも自分の語学レベル証明のために受験をすることができます。

レベルと検定の基準

DELEと同じく、ヨーロッパ言語共通参照枠MCER(CEFR)の定めた基準に則って分けられていますが、A1、A2、B1、B2、C1の5つのレベルのみ(C2は無し)という点で異なります。

試験内容

こちらもDELEと同じく「読む」「書く」「聞く」「話す」の4つのスキルを測定するため、読解、聴解、文章表現、口頭表現のパートに分かれます。

が、必ずしもすべてのパートを受験する必要はありません。

読解+文章表現のみ、聴解+口頭表現のみ、というように受験科目を選択することができるのです。

合格基準

合格か不合格どちらかの判定ではなく、スコア制となっています。

全パートを受験した場合1000点満点(各パート0~250点)で、得点によってA1~C1レベルの判定がでます。

全パートを受験した者には得点結果の証明書(Certificado)、一部パートのみ受験した者には評価書(Informe)が発行されます。

証明書にも評価書にも、受験者の各パートの能力についての記述が含まれます。

なお、結果が出るまでに数か月かかるDELEに対し、SIELEの場合は最長でも3週間で通知を受領できます。

また、合格判定を取得した場合、その資格に有効期限がありませんが、SIELEの試験結果には2年という有効期限があることを知っておくべきでしょう。

客観的に最近のレベルを把握するための試験だということがうかがえますね。

その他のスペイン語関係の検定・資格試験

ここまでで見てきた3つの検定の他にも、スペイン語能力を測定するための検定・試験はたくさんあり、その多くは翻訳・通訳に関するものです。

日本国内で受験できるものの一例を挙げてみましょう。

  • 翻訳技能認定試験(社団法人日本翻訳協会)
  • 翻訳実務検定TQE(株式会社サン・フレア)
  • ビジネス通訳検定TOBIS(通訳技能向上センター)
  • 通訳案内士試験(国土交通省認定の国家試験)

通訳者や翻訳者として仕事をする場合、検定合格や資格の保持は義務ではありませんが、客観的に能力を証明できるものをもっていたほうが有利であることは明らかです。

通訳案内士(通訳ガイド)に関しては、前述の国家試験を受けずに業務を行うことは違法とされています。

まとめ

DELE、西検、SIELE、3つのスペイン語検定試験を比べてみると、同じスペイン語の検定でも試験内容やシステムに大きな違いがあることがわかります。

どの検定を受験するかは個人の自由ですが、一般的に、西検は日本国内で、あるいは日本企業や学術機関に対してスペイン語能力を証明したい場合に受験する人が多いようです。

一方、国際的な認知度のあるDELEやSIELEは、留学や海外での就職を目指す場合、または日本国内の外資系企業で働くといった場合に役に立つでしょう。

もちろん複数あるいは3つすべての検定にチャレンジすることも可能ですが、経済的・時間的な面を考えても、自分の目的に合ったものに絞ったほうが効率が良いと思われます。

それぞれの特色をきちんと理解し、メリット・デメリットも踏まえた上で、自分に最適な検定を選び、合格・高得点取得を目指してください。

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