スペイン語で「愛してる」「好き」はどう言う?愛情表現の仕方。

どんな言語においても愛情を伝えるための言葉は数多く存在します。

特にスペイン語を含むラテン語系の国ではそういった表現のバラエティが豊かなイメージがありますよね。

事実、スペインでも中南米の国々でも、日本とは比べものにならないほど頻繁に、しかも至る所で甘い言葉が聞こえてきます。

この記事では、相手に対して「好き」「愛してる」といった感情を伝えるためのスペイン語の言葉・表現を多数紹介しましょう。

一見似たような文でも、それぞれ微妙にニュアンスが違います。

その違いを見極めて状況に応じて使いこなせれば、あなたの愛の言葉はより効果的なものとなるでしょう。

動詞querer, amar, necesitar, adorar, extrañar を使う表現

以下の例文では主語は省略されていますが、動詞の活用形は1人称単数の「私」です。

愛情の対象(受け取る側)となる直接目的語の人称代名詞“Te”(テ、「君を/が・あなたを/が」)が動詞の前に置かれます。

礼儀正しく話すべき関係、あるいはまだ精神的距離を感じる相手に対しては“Te”の代わりに“Le/Lo”(相手が男性の場合)あるいは“La”(相手が女性の場合)を使いますが、ここでは親しい間柄の相手であると想定して“Te”に統一します。

  • Te quiero.(テ・キエロ)=あなたが好きです。

動詞“querer”(ケレール、「~を欲する」)を使ったシンプルな表現です。

家族間でも恋人同士の間でも、最もよく使われる文のひとつでしょう。

動詞の意味から直訳すると「あなたが欲しい」になりますが、「好きです」「愛しています」と訳するほうが自然ですね。

  • Te amo.(テ・アモ)=あなたを愛しています。

動詞(アマール、「~を愛する」)を使った表現です。

英語でいう“I love you.”に相当するもので、上述の“Te quiero.”よりは多少重みのある言葉ですので、誰に対してでも気楽に使うものではないと考えたほうがいいでしょう。

  • Te necesito.(テ・ネセシト)=あなたが必要です。

動詞“necesitar”(ネセシタール、「~を必要とする」)を使って相手に対する思いを伝えることができます。

状況によっては文字通りの意味、つまり何か具体的な理由で相手(の助け)を必要としている可能性もあり、愛情表現との見極めがやや難しいこともあります。

  • Te adoro.(テ・アドロ)=あなたを尊敬・崇拝するほど好きです。

動詞“adorar”(アドラール、「~を崇拝する・熱愛する」)を使った表現ですが、日常的にというよりも何か特別な機会、例えば相手が何かを成し遂げた時などに使われることが多いです。

adorarの類義語“estimar”(エスティマール、「~を尊重する・愛する」)でも同じ用法ができます。

  • Te extraño. (テ・エクストラ―ニョ)=あなたが恋しいです。

動詞“extrañar”(エクストラニャール、「~がいなくて寂しく思う」)を使います。

動詞“añorar”(アニョラール、「~を懐かしむ」)を使っても、かなり近い意味の文になるでしょう。

いずれの動詞も、後に“mucho”(ムチョ、「とても」)、“muchísimo”(ムチシモ、「と〜っても」)、“un montón”(ウン・モントン、「たくさん・大変」)“de corazón”(デ・コラソン、「心から」)などの副詞を付けると愛情の度合いをより強調することができます。

<例>

  • Te amo mucho.=あなたをとても愛しています。
  • Te extraño un montón.=あなたがすごく恋しいです。
  • Te quiero de corazón.=あなたのことが心から好きです。

動詞gustar, encantarを使う表現

これらの動詞は文法的な面で前述の動詞グループとは異なります。

主語が愛情を受ける対象、つまり“tú”なのです。

したがって、動詞の活用も2人称単数形となり、1人称単数の「私」が「~」の部分に入る直接目的語になります。

ここでも主語は省略されることが多いです。

  • Me gustas tú.(メ・グスタス・トゥ)=あなたが好きです。

動詞“gustar”は「~の気に入る・~を好きにさせる」という意味なので、直訳すると「あなたが私を好きにさせる」となります。

主語は愛情を受ける側(tú)なので、活用形は1人称単数のgustoではなく2人称単数のgustasを使うのです。

比較的気軽に使える表現で、友達同士でも「君、気に入ったよ」「気が合うね」くらいの意味で使われることがあります。

  • Me encantas tú.(メ・エンカンタス・トゥ)=あなたが大好きです。

動詞“encantar”(エンカンタール、「〜を魅了する」)の文も“gustar”と同じ構造で、主語は愛情を受ける対象(tú)です。

ちなみに、encantarもgustarもその対象(主語)が複数になる場合は動詞が2人称複数の活用で次のような文になります。

  • Me gustáis vosotros.=私はあなたたちが好きです。
  • Me encantáis vosotros.=私はあなたたちが大好きです。

形容詞enamorado/a, loco/aなどを使う表現

以下のように、動詞ではなく形容詞を使った表現もあります。

  • Estoy enamorado de tí.(エストイ・エナモラード・デ・ティ)=あなたに惚れています。

形容詞“enamorado/o de~”(エナモラード/ダ・デ・~、「~に恋をしている」)は動詞“enamorar”(エナモラール、「~の心を捕える・~の気に入る」)の派生語です。

スペイン語の形容詞は性数変化するというルールがあるので、主語が男性の場合は“enamorado”ですが、女性の場合は“enamorada”となります。

  • Estoy loco por ti. (エストイ・ロコ・ポル・ティ)=私はあなたに夢中です。

形容詞“loco/a”はもともと「気の狂った、無分別な」の意味ですが、前置詞porまたは conが続いて“estar loco/a por+人”、“ estar loco/a con+人”の形になると「~(人)に夢中だ」「~に熱中している」という意味の文になります。

  • Estoy feliz contigo.(エストイ・フェリス・コンティーゴ)=私はあなたといると幸せです。

形容詞“feliz”の代わりに“contento/a”(コンテント/タ、「満足している」)などを使うと、少し意味は変わりますが、相手と一緒にいられて嬉しいという気持ちは同様に伝わるでしょう。

なお、上記の例文は主語を相手(あなた)にして次のように言い換えることもできます。

  • Me haces feliz.=あなたは私を幸せ(な気持ち)にしてくれます。

いずれの形容詞も、強調したい場合は直前に“muy”(ムイ、「とても」)や “realmente”(レアルメンテ、「本当に、本気で」)などの副詞を挿入します。

<例>

  • Estoy muy loco por ti.=私はあなたにとても夢中です。
  • Estoy realmente enamorado de ti.=私はあなたに本気で惚れています。

その他の表現

続いて、愛や好意を直接連想させる単語を使わずに愛情を伝える表現を紹介します。

  • Me muero por ti.=あなたが好きでたまらない。

動詞“morir(se)”は「死ぬ」という意味ですので、直訳すると「あなたのせいで死んでしまう」となります。

「死んでしまいそうなほど、あなたが好き」ということでしょう。

かなり情熱的な表現ですね。

  • No puedo vivir sin ti.=あなた無しでは生きられません。

動詞“vivir”(ビビール)には「生きる・暮らす・住む」などの意味があります。

例文は愛の表現ととることもできますが、場合によっては文字通り(経済的あるいは物理的な理由で)「あなたがいないと生活できない/暮らしていけない」という意味かもしれないことを知っておいてください。

  • Eres lo más importante de mi vida.=あなたは私の人生で最も大切なものです。
  • Eres la más hermosa de mi vida.=あなたは私の人生の中でもっとも美しい。
  • Eres lo mejor que ha ocurrido en mi vida. =あなたは私の人生で起きた最上の出来事です。

上記3つはいずれも相手を称えるような意味の文です。

1番目と3番目の文は“lo(中性定冠詞)+形容詞”でそれぞれ「一番大切なもの」「一番良いもの」というやや抽象的な意味ですが、2番目は“la(女性定冠詞)+形容詞”であることから「一番美しい女性」を指していることがわかります。

  • Te echo de menos. =あなたがいなくて寂しいです。/あなたに会いたいです。

“echar de menos a+人”は「~(人)が無いのを淋しく思う」、「~(人)に会いたいと思う」という意味の慣用句です。

“de menos” の部分を“ en falta”と置き換えても全く同じ意味の文になります。

愛情のこもった呼びかけ

日本人にはあまり馴染みがないかもしれませんが、スペイン語圏では相手に呼びかける(声をかける)時、名前の代わりに以下の言葉を使うことがあります。

各単語の前の“Mi”は付けても付けなくても構いません。

右側に記す直訳はそれぞれ違いますが、どれも「私の愛しい/可愛い人」と近い意味で使われます。

そして、いずれも英語の“Honey(Hon)”や“Sweetheart/Sweetie”などに相当するものと考えてよいでしょう。

  • Mi amor.(ミ・アモール):amor=愛
  • Mi tesoro.(ミ・テソロ):tesoro=宝
  • Mi vida. (ミ・ビダ):vida=人生・命
  • Mi corazón.(ミ・コラソン):corazón=心・心臓
  • Cariño.(カリーニョ):cariño=愛情・愛着
  • Cielo.(シエロ):cielo=空・天

まとめ

一見大袈裟にみえる表現でも、スペイン語圏に行ってみると誰もが日常的に、そしてごく自然に使っていることに驚かされることでしょう。

一方、スペインや中南米の人々と違って、日本人にはこういったあからさまな愛情表現を口に出して伝える習慣があまりありませんよね。

それゆえ、外国人にこのような甘い言葉をささやかれると舞い上がってしまう人が多いように思います。

最近は「国際恋愛詐欺」なるものが流行っていますが、それも愛情表現に不慣れな日本人の性質を利用したものだと言えるでしょう。

そのような不幸を避けるためにも、スペイン語圏の人々がどのような状況で、あるいはどのような関係の時にそれぞれの表現を使うのかを知っておくことは役に立つと思います。

そして、最初は少し照れ臭いかもしれませんが、自分からもこのような言葉を口に出してみてはいかがでしょうか。

スペイン語の勉強を続けている限り、将来スペイン語圏のパートナーや家族ができる可能性も無くはありませんよね。

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