英語の筆記体はもう使わない?使われなくなった理由や英語圏での現状

昔は学校の英語の授業で筆記体を習うのが必須でした。

滑らかな曲線が続く筆記体は見た目もかっこよく、手紙を書く際に適しています。

英語を勉強していれば一度は憧れた経験があるのではないでしょうか。

また手紙だけでなく、以前は筆記体がビジネスで使われる正式な書体とされていました。

その後タイプライター、パソコン等が次々と主流になっていったことで、現在では筆記体を見る機会がほとんどなくなってしまいました。

しかしなぜ活字体は残り、筆記体だけが使われなくなってしまったのでしょうか。 

また筆記体が書けなくて将来困ることはないのでしょうか。  

今回はそんな筆記体が使われなくなった理由や現在の状況について見ていきましょう。

英語 筆記体は使われていない?

日本では学校でも教えなくなってしまった英語の「筆記体」ですが、なぜ学習の必須項目ではなくなってしまったのでしょうか。

この答えは2002年(平成14年)に改定された中学校学習指導要領にあります。

同年4月から、英語の筆記体は必須項目から削除され、必ずしも学校で習うべき項目ではなくなりました。

その証拠に、学校で配られる教科書からも筆記体は消え、活字体の大文字と小文字のみが使われるようになっていきます。

90年代に入り急速にパソコンが普及したことで、文字そのものを書く機会が減ったためにわざわざ筆記体を習う必要性が問われたのです。

パソコンの台頭と共に、ビジネスで主流だった筆記体は活字体へと移り変わり、結果教育現場においても必須項目から外れていったということです。

2002年以降は学校で習う機会が無くなったため、筆記体の読み方すら分からず書くこともできないという学生も出てくるようになりました。

一方、担当の先生によっては筆記体を学習したという学生もいるので、各地域でばらつきがあるようです。

一般的には昭和生まれは筆記体を習った世代、平成時代は活字体のみを習った世代として分けられているようです。

英語筆記体 知らなくて困ることは?

英語の勉強に力を入れている人ほど、筆記体を知っておかなくて後で困らないのかと不安に感じるのではないでしょうか。

日本では必要なくても、ネイティブと留学や仕事などで一緒になった際に困らないかどうか気になるのではないかと思います。

結論から言うと、答えは「筆記体を知らないからといって特に困ることはない」です。

というのも現在ビジネスや正式書類で使われている書式は全て「活字体」です。

語学試験の問題でさえも筆記体で読み書きをさせる問題はゼロに等しいと言えます。

また一部教授によっては手書きの答案を受け付けない場合もあり、そもそもテストの回答をタイピングする必要があります。

つまり大学で言語学を専攻するなど、専門的に学ばない限り、まず筆記体を目にすることはなく、また現代において筆記体なしで困ることはゼロに近いのではないかと言えます。

唯一パスポートや書類の署名欄にサインをするときには筆記体を使う習慣が残っていますが、署名は読解する必要がありません、し正確な形が決まっているわけでもありません。

つまりサインに関しては読めなくても良いのです。

もっぱら日本人のサインは本名の漢字やひらがなを使う場合が多く見られますので、まず筆記体は必要にならないでしょう。

今後もデジタル化は促進することが予想されますので、筆記体離れはますます進むでしょう。

ですが、学習して損になることはもちろんありません。

綺麗な横文字で手紙を書きたい、筆記体で書かれた古い文書を読めるようになりたい等、少しでも興味があれば、是非挑戦してみると良いでしょう。

英語筆記体 英語圏での現状は?

日本では目にすることの少なくなった筆記体ですが、英語圏ではどうなのでしょうか。

活字体と筆記体はどのくらいの割合で使われているのでしょうか。

現地でネイティブが使っているのなら、今後に備えて少なからず知っておく必要がありそうですよね。

どころが、現在は英語圏でも筆記体離れが顕著になっているようです。

アメリカでは通常小学3年時から筆記体を学び始めますが、それでもスマートホンやSNSの発達により筆記体を使う若者は減少の一途を辿っています。

日本とは対照的に学校では教わるため若い世代にも認知されていますが、現在学校のテストで筆記体を使う人は全体の10%ほどだそうです。

それだけ現在では教材やテスト問題を始め、オフィシャルな書類にも活字体の使用が主流になっていることが分かります。

そもそも筆記体は活字体よりもスラスラと速く書けることが利点で、時間を要する黒板の板書やテストの答案にも好んで用いられていました。

しかし現在はデジタル化により、テストの答案でさえもパソコンを使って解答することが増えてきています。

そうなると筆記体を学ぶよりもキーボードに入力するスキルを磨くべきだという風潮になるのは自然の流れだと言えるでしょう。

日本の学校ではカリキュラムに盛り込まれていないので、なおさら若者は筆記体から離れていくでしょう。

インターネットの記事やSNSを見れば一目瞭然で、これらの媒体を使うのに筆記体であるかどうかは特に問題になりません。

それよりもより頻繁に意味のある文章を書けるかというスキルの方が、現代の需要を満たしていると言えそうです。

アメリカでは日本同様、若者の筆記体離れが加速しています。

筆記体の歴史

筆記体はアメリカで「Cursive writing」 と呼ばれています。

別名に「Script」や「 Longhand」などという呼び名もあります。

例えば、

I can’t even read cursive writing because I have never learned about it at Japanese schools.
筆記体は読むこともできないよ、だって日本の学校では一度も教わってないし。

ということができます。

イギリスでは「Joined-up writing」、またオーストラリアでは筆記体のことを「Running writing」とも呼んでいます。

筆記体は筆先を持ち上げる必要がなく、筆記のスピードを速める方法として用いられ始めました。

また当時主流であった筆ペンは壊れやすかったため、その壊れやすさを軽減するためであったともいわれています。

さらにインクの持ちが良かったことも好条件でした。

筆記体の起源は16世紀にまで遡ります。

現在の英国があるエリアに居住していたアングロサクソン族は、個人的な手紙や公式の書類を古英語で残しており、それらの書式は筆記体で書かれています。

タイプライターが登場する19世紀までは筆記体がビジネス用の正式書体として用いられており、会社では綺麗な字が書けるよう従業員への指導を徹底していました。

この筆記体のことを「Fair hand」と呼んでおり、文字通り番人に共通「Fair」した綺麗な文字という意味があります。

日本では戦後に英語教育が選択科目として導入されてから、活字体と筆記体の両方が教えられてきました。

文字同士が繋がる筆記体は書く速度も速く、以前は教師も黒板への板書に筆記体を使用する割合が高かったと言えます。

ところが 90年代に突入し、学習要項の改定、また授業数が減少したことから筆記体を扱う学校が減っていったといいます。

またかつて筆記体で埋め尽くされた黒板も、教科書に合わせ活字体へ変わっていきました。

その後はワープロやパソコンの導入、アイフォンの登場と筆記体の必要性が薄れていったのは上記に既に記載した通りです。

ヨーロッパでは筆記体が使われている?

上記ではアメリカと日本について説明してきましたが、ヨーロッパでは現在でも筆記体が使われているそうです。

イギリス、フランス、ドイツではいまだにオフィシャルとして使われる筆記体のイメージが根強く残っています。

そのため手書きで書く場合には筆記体を使用する人も多いと言えます。

特にフランスでは役所の書類など、身近な公式文書に情報を記入する際にもまだまだ筆記体が主流です。

筆記体を習わなかった世代の日本人は少、フランスに移住した場合多少苦労するかもしれません。

ドイツでは活字体(ブロック体)と筆記体の両方を使用しているようです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は「英語の筆記体」について、日本で使われなくなった理由や英語圏での現状についてまとめてみました。

アメリカでは日本と同様、若者の筆記体離れが進んでいますが、ヨーロッパ各地では未だに筆記体が使われていたり、筆記体が主流の国もあったりと国によってさまざまでした。

日本では昭和と平成世代で、教育カリキュラムの変更の影響により筆記体と習った世代とそうでない世代に分かれるようです。

学校では習わなかった人も、古い書物を読むための勉強や手紙をかっこよく筆記体で書くなど、目的をもって勉強してみても良いかもしれません。

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